皆で作る「作」の価値。
時代は常に変化していきます。
作り手だけでは無く、お客様とともに作り上げるのが
酒の真の価値である、という意味を銘に込めた「作」。
酒造りの伝統を重んじつつも、
刻々と変化を続ける時代と共に、人々の多様な価値観や思考と向き合いながら
いつも進化を続ける酒でありたいと思っています。
米と水。麹と酵母。
複雑で素晴らしい関係。
日本酒の原材料は、米と水。酒蔵の麹室(こうじむろ)の中で、一部の蒸米は、米麹へと姿を変えます。その際、蒸米に含まれる水の量が、麹の良し悪しを決定します。蒸米と米麹、水がタンクの中で発酵を始めます。醗酵タンクの中では、米の澱粉がブドウ糖に分解される糖化と、酵母によるアルコール発酵が同時並行的に進行します。醗酵途中の醪(もろみ)の成分は日々変化していきます。醪の成分を毎日分析し、味と香りを五感で確かめ、麹や酵母の働きを感じながら、繊細なコントロールを行います。このような醗酵形態をとることで、米だけから生まれたとは思えない、豊かで複雑な味わいと香りが生み出されます。そして香味の良否を決定するのは、様々な成分の均衡なのですが、すべての鍵は水なのです。
理想の酒を造るためにもっとも大切なことは、毎日の仕事の中にあります。しっかりと準備を行うこと。作業が終わったらきちんと後片付けをおこなうこと。掃除をちゃんとすること。道具をきちんと扱うこと。それらの仕事が、良い酒造りを行うための秘訣です。
目指すは究極のキレと透明感。
作の酒造りに欠かせぬこと。
作は、隅々に目の行き届く比較的小さなサイズの仕込みタンクを使って作られます。この方が日々細かな変化に目を配らせながら、少しでも良いお酒になるようにコントロールしやすいからです。その年の気候によって大きな変化を強いられる農作物。酒もまたその年の米の出来具合や気候によって変化します。目の行き届く設備によってできるだけ皆様に安定した品質のお酒をお届けできるように日々努めています。
作シリーズは、数種の異なる酵母や作り方を変えることで、多様な香りの種類があります。しかしどの酒も口に含んだ時の柔らかな味わいとキレの良さ。クリアで洗練された透明感を合わせもつことを特徴としています。しかし、酒の本当の価値は優れた味わいだけで十分ではなく、作り手はもちろん、販売する者、提供する者、そうして味わう者の皆が関わることで真の価値が生まれるものと考えています。
時代は常に変化します。これからもお酒のあり方も変化していくことでしょう。私たちはいつの時代でも常に色褪せぬ存在でありたいと思っています。